サイコパスとソシオパス診断!2つの特徴と違いについて

サイコパス、ソシオパスという言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 

サイコパス(精神病質者)とソシオパス(社会病質者)はどちらも反社会的人格を現した言葉でよく混同されがちです。実際に医学用語ですとこのふたつは「反社会性パーソナリティ障害」に分類されます。

 

ですが2つの言葉があるようにこのふたつには明確な差があります。今回はそれぞれの特徴、そしてサイコパスとソシオパスの違いについてお話しします。

 

サイコパスの特徴

数多くある研究の結果、サイコパスとは脳の構造によるものの違い、つまり生まれつき持っているという先天性であるという説が濃厚です。感情や衝動などを抑える能力が未発達なため人と調和をとるのが難しいです。なので自分と気の合う人と関係を作るのではなく自分の利益になるように人と表面的な関係を構築するのが特徴です。

 

サイコパスにとって人はチェスの駒、いわゆる道具のようなものであくまでも自分の目的のために利用する存在でしかありません。他人の気持ちや感情が分からず、自分の言動が人を傷つけようとも、いっさい罪悪感を覚えることがありません。ひとによっては自分自身の感情も理解できないという人もいるようです。

 

他人の感情が理解できない、感情に振り回されないというのは違う角度から見ると「クール」と認識されるためモテやすいという一面もあります。さらにサイコパスは仕事も余計な感情に遮られることがないので作業の効率が非常に良く仕事面でもとても信頼されやすくそれもかなり高地位に就いていることも多いです。

 

サイコパスは感情や衝動抑制が欠如していることが多く犯罪に対しても無頓着なため、映画などでサイコパスはよく殺人を犯す役割を担っています。

 

サイコパスが登場する映画

  • 『ノーカントリー』のアントン・シガー
  • 『アメリカン・サイコ』のパトリック・ベイトマン
  • 『ヘンリー ある連続殺人鬼の記録』のヘンリー・リー・ルーカス
  • 『デクスター 警察官は殺人鬼』のデクスター

 

ソシオパスの特徴

ソシオパスはサイコパスと違い、おもに環境要因による脳の変化、つまり生まれ育っていくなかでの影響を受けた後天性であるとされています。家庭環境が悪い、身体的・精神的虐待を受けていた、幼少期のトラウマなどが当てはまります。

 

ソシオパスはサイコパスと比較すると衝動的で行動に一貫性がなく情緒が不安定な傾向があります。人との調和がとれない、他人の気持ちや感情を汲みとることができないという部分はサイコパスと似ていますが衝動的な行動がサイコパスと比べると多いため、一定の仕事に就くことや、一般的に言う幸せな家庭生活を築くことが非常に困難です。

 

ですが、ソシオパスは自分の考えと似ていたり類似している存在に対して愛着を感じたり、自分を認めてくれる存在に惹かれ、依存する性質があります。

 

ソシオパスは犯罪を犯してしまう際にも衝動的な行動から無計画に犯行を行ってしまうため自身へのリスクを考慮しない行動をとります。なので、犯罪が露見し捕まる確率が非常に高いです。

 

ソシオパスの登場する映画

  • 『ダークナイト』のジョーカー
  • 『ヘザース ベロニカの熱い日』のJ.D.
  • 『時計じかけのオレンジ』のアレックス

 

サイコパスとソシオパス、どっちがより危険?

サイコパスとソシオパスはどちらも社会に対する脅威となる存在には変わりません。

 

ですがどちらがより危険かというと「サイコパシス」のほうがソシオパスと比べて危険な存在とされています。その理由は、ソシオパスは衝動的な行動で犯罪を犯してしまいますがサイコパスは衝動ではなく自分の意思で行います。ほとんど罪の意識がないため、「やってみたい」という単純な好奇心から実行に移り自分の意思で飽きるまで続けます。

 

また、サイコパスは自らをその行動から切り離して考えることに長けているため、被害者側の痛みや苦しみが理解できません。その上、犯罪を普通と認識するため、犯罪を犯した次の日にはいつも通りの表情で社会に溶け込んでいます。シリアルキラーの多くはソシオパスではなく「サイコパス」であることも事実です。

 

ただし、サイコパスやソシオパスを含む反社会性パーソナリティ障害の全員が暴力的であるわけではありませんので注意が必要です。他人の感情を軽視し、簡単に嘘をついたりするところはあります。だからといって全員が全員、危険な犯罪者というわけではありません。

 

サイコパス ソシオパス
先天性な要因によるもの 育った環境や幼い頃のトラウマなど後天性によるもの
物事に対して計画性が高い 衝動的なため、計画性が低い
自分の意思で他者を傷付ける 衝動的で他者を傷付ける
感情に左右されないので成功者が多い 衝動的なため長期的に仕事に就くことができない
他者と共感することがない 自分と同じ考えや思想を持つ相手に対してのみ依存する

 

サイコパス・ソシオパスはどのくらいいる?

危険な可能性のあるサイコパスやソシオパスですがどのくらいの人数存在しているのでしょうか?

 

ニューメキシコ大学の研究によるとサイコパスは全体の1%いると言われいます。またハーバード大学の研究によると全体の4%はソシオパスとされています。サイコパスとソシオパスを合わせた反社会性パーソナリティ障害は全体の5%、つまり20人に1人は反社会性パーソナリティ障害であるということになります。学校で例えるならひとクラスに1人はいるという計算になります。

 

サイコパス・ソシオパス診断

アメリカ精神医学会による「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)」があります。サイコパスやソシオパスを含めた反社会性パーソナリティ障害かどうか定義される問題がありますので紹介します。全部でいくつ当てはまったか数えておきましょう。

 

  1. 日常的に法を犯す、または法を軽視している
  2. つねに嘘をつき、他者を騙そうとする
  3. 衝動的で計画性がない
  4. けんか腰で攻撃的
  5. 他者の安全性についてほとんど考慮しない
  6. 無責任で、金銭的にルーズ
  7. 良心の呵責や罪悪感がない

 

この7つの項目の内3つ以上当てはまった場合、反社会性パーソナリティ障害と定義されます。

 

まとめ

サイコパスやソシオパスの危険な面を多く挙げましたが実際には多くの反社会性パーソナリティ障害を患っているひとも普通に生活を送っています。

 

なのでサイコパス、ソシオパス=危険ではないということになります。

 

参考文献

Reduced White Matter Integrity in Antisocial Personality Disorder: A Diffusion Tensor Imaging Study

Psychopathy Kent Kiehl and Julia Lushing (2014), Scholarpedia, 9(5):30835.

Antisocial Personality Disorder

Prevalence of Psychopathy in the General Adult Population: A Systematic Review and Meta-Analysis

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